
ベントってなんですか?
閉鎖感を緩和し、装用感を向上させる空気穴がベントです。
補聴器に音漏れはハウリングの原因として大敵です。このため耳の型を採り、ぴったりと合った補聴器を製作しますが、補聴器にはわざと補聴器より内側と、補聴器の外側をつなぐための通気穴を用意することが多々あります。
この空気穴は「ベント」と呼ばれますが、これにはいくつかの目的があります。
両方の耳の穴に指を差し込み塞ぐと、音が聞こえにくくなるだけではなく、閉塞感を感じます。またこの状態で声を出すと、自分の声が鼻にかかり、くぐもった声で聞こえるでしょう。
これは外耳道閉鎖効果とよばれるもので、耳の穴(外耳道)を塞ぐと、400Hz付近の低い音が共鳴により増幅されるというもので、こもり感、閉塞感といった原因になります。
ベントを設けることで、この外耳道閉鎖効果を軽減させることができます。ベントは短い程、そして口径が大きい程、その効果は高くなりますが、一方ハウリングも出やすくなりますので、聴力と補聴器の出力を見極めながら設定する必要があります。
外耳道内の湿気を逃がすという点もベントが持つ効果の一つです。また超小型の補聴器で、耳の奥まで入れるような補聴器では、補聴器の挿入により強い圧力が鼓膜にかからないようにする「静圧ベント」というタイプのベントを設けることがあります。
聴力、補聴器機種、調整内容によっては、ベントの設定が難しい場合があります。ハウリングとの兼ね合いとなるベント設定ですが、耳あなタイプから耳かけタイプに機種を変更し、音の入り口/出口の距離をかせいでハウリングを出にくくし、ベントを大きく設定するといった方法もあります。またベントがなくても閉鎖感を感じないというケースも多くありますので、装用感と合わせ、販売店に相談されると良いでしょう。